いつかの未来は夏の中

 小沢由美

 4-88304-243-X

 四六判・税込価格1,325円



車椅子も難病も、私が私でいるためのスパイスなんだ。みんなもっと、バラバラの格好をして、バラバラの心を持っても、いいんじゃないかな。ウェルドニッヒ・ホフマン病という難病を背負い、車椅子の生活を余儀なくされている小沢さんは、弱冠16歳で「ありのまま記録大賞」を受賞しました。その言語感覚と表現力はまさに天性のもの。本書は、大賞受賞作『赤ちゃん超光速』ほかの詩と、16歳の日常をみずみずしく綴ったエッセイを収録しています。こんなにキラキラと、胸をはって人生を謳歌している少女がいることを多くの人に知ってもらいたいと思います。
本書は1995年7月に出版されました。このたび、内容は変わりませんが、新装版を出すことになりました。新しい表紙は、夜空に力強く咲き誇る「ひまわり」。幻想的で生命力あふれるデザインです。



[赤ちゃん超光速]

ある日生まれた 赤ちゃん超光速
青くまたたく流星の中を
紅くざわめく星団の中を
ひとっ飛びですり抜けて
清らかに一つの命になる
(このままずっと
 ここにいたいのにな。
 これからは幾つの
 悲しいことがあるのだろう。)
小さな元気は 不安でいっぱい
イヤな予感は よく当たるもの
泣くに泣けない産声を上げて
厚い空気の苦しさの中で
それでもあなたは
生まれて来た
信じるんだよ
今夜がヤマだとささやかれても
呼吸(いき)をしていたその力
これから生まれる 赤ちゃん超光速
思うようにはいかぬもの
どうにもならない事だってあるけれど
ただ苦しみに勝つために
生きているんじゃないんだよ
どんなところにあなたがいても
本当の事は味方する
あっという間のその中で
好きなものを忘れませんように
あっという間のその中で
その光 折れ曲がることのないように
いつか銀河を越えてきた
あの時のように

第10回ありのまま記録大賞 大賞受賞作品